OBSTETRICS

産科麻酔

昭和大学病院は産科麻酔を研修できる数少ない施設の一つです。

なぜ、産科麻酔という分野が必要なのでしょうか?

第一の理由は、産科の特殊性です。ひとつの症例で母体と胎児、2人の命を預かるのですから、責任も2倍と言えます。

第二の理由は、幅広い知識が必要とされる点です。妊娠にともなって母体の循環・呼吸状態は劇的に変化します。分娩に特有な合併症も数多くあります。的確に対応するためには、産科医に負けないくらいの知識が求められます。

産科麻酔の守備範囲は?

産科麻酔の守備範囲は、帝王切開の麻酔や無痛分娩だけではありません。妊娠中の非産科手術から分娩後の出血まで広く関与します。例えば、妊娠中の急性虫垂炎の症例で、腹腔鏡下虫垂切除術を申し込まれたとしましょう。全身麻酔の薬剤が胎児に及ぼす影響は?気腹は安全に行えるのか?母児の安全を守るためには、麻酔科医の知識が問われます。ここに、産科麻酔研修をうける意義があると考えます。

昭和大学の産科麻酔とは?

産科麻酔における麻酔科医の役割は、産婦人科や助産師、救急科などと協働して産科診療をサポートすることです。麻酔科医のやる気があっても、環境が整わなければ活動範囲は限られてしまいます。

昭和大学の産科麻酔の特徴は、なんといっても産婦人科の活動性の高さです。年間の分娩件数は約1300件、低リスクから高リスクまで幅広い症例を扱います。これは大学病院としては全国屈指の分娩数を誇ります。また、昭和大学は東京都母体救命搬送システム(スーパー母体救命システム)の一翼を担っているため、産科救急症例にも事欠きません。

昭和大学病院で無痛分娩を学ぶということ

昭和大学病院の特徴は「チーム医療」ですが、こと産科領域に関しては、まさにチーム力が発揮されています。母児の安全を守り、快適な分娩を提供するという目標に向かって、チームが一丸となって取り組んでいます。

また、昭和大学病院では無痛分娩の進行について産科医・助産師・麻酔科医(ときには産婦本人を交えて)で、ディスカッションを行います。このコミュニケーションによって、症例について深く学ぶことが出来るのです。
このような理想的なチーム体制のもと、年間350400例の無痛分娩を行っています。

新生児蘇生法についても学べます

麻酔科医は帝王切開の麻酔で分娩に立ち会います。予定の帝王切開なのに生まれてきた新生児がぐったり…何をすればいいのでしょうか。人工呼吸?胸骨圧迫?

出生直後の新生児は危機的状況に直面しています。子宮内では胎盤から酸素が供給されていましたが(胎児循環)、出生後は自らの肺呼吸で酸素を取り込まねばなりません(肺循環)。

出生時に胎外環境に適応できず、なんらかの蘇生が必要となる新生児は10人に1人とされます。幸いなことに、多くの症例が適切な換気補助だけで蘇生できます。そう!呼吸のエキスパートである麻酔科医の出番です。

昭和大学で、私たちと一緒に産科麻酔を学びませんか?

昭和大学では産科麻酔研修生を募集しています。

無痛分娩を始めたけど、いまいち全体像がつかめない。先週の症例はうまくいったのに、なぜ今日の症例はあまり上手くいかなかったんだろう?
緊急帝王切開で大量出血したけど、輸血でなんとか乗り切った。あの対応で良かったのかな?

昭和大学周産期チームはディスカッションによる学びを大切にしています。日々の失敗はもちろんのこと、成功についても丁寧に振り返り、未来の糧としています。あなたの疑問を一緒に解決してみませんか?

応募資格:産科麻酔を学ぶ熱意のある麻酔科医(麻酔科専従歴3年以上、年齢不問)
勤務体系:応相談
連絡先:細川幸希 yhoso@med.showa-u.ac.jp