ドイツでの研修について


2015年4月25日から5月14日までの約2週間半の期間でドイツに末梢神経ブロックを中心とした手術麻酔の研修に行って来ました。

まずお世話になったのは、フランクフルト大学整形外科病院の麻酔科です。そこで2週間、主に下肢のブロックを中心に見学させて頂きました。

その後に大嶽教授がメルボルンで勤務していた時代に同僚であった、Prof. Booke がChief を務めるマイン・タウナス病院(Kliniken des Main-Taunus-Kreises)の麻酔科を見学させていただきました。

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フランクフルト大学整形外科病院では様々な術式に対して多くの神経ブロックを行っています。

特に腰神経叢ブロックや坐骨神経ブロックが多く、これら深部のブロックを超音波と神経刺激を併用して行っていました。

元来ヨーロッパでは神経刺激ガイド下神経ブロックを盛んに行っていた背景があります。

この病院では超音波を併用することによって、特に高度肥満の症例の深部ブロックについて、手技の安定化、安全性の向上、所要時間の短縮が得られたということでした。

確かに、この病院は日本では見かけないくらいの高度肥満かつ複数回の手術歴を持つ(解剖学的に通常と異なることが多いです。) 症例の再手術といったケースも多いのですが、このような症例でもブロックに要する時間は通常の症例とあまり変わりませんでした。

また腰神経叢ブロックはShamrock アプローチで行っており、多くの症例で画像と手技を見ることができました。

これは彼らにとってもまだやり始めて数ヶ月のアプローチということでしたが、さらに新たなアプローチにも挑戦していました。

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ここの手術室は6 部屋ある手術室すべてに導入室を備えており、基本的にブロックや全身麻酔の導入は導入室で行ってから手術室に移動するというスタイルで運用されていました。

前の手術をしている間に次の症例を導入室に入室させ、区域麻酔の処置や全身麻酔の導入、A-line、CVC の挿入などを済ませておき、手術が終わってすぐに次の手術を始めることができるため、非常に効率的に手術室が運営されていると感じました。

Prof. Kessler も日本との最も違う部分は導入室のことだねと仰っていました。

5 部屋で年間4000 件の手術を行っているということですが、定期手術のほとんどは15 時過ぎには終わっており、その効率の良さがよくわかります。

また僕達が日常に行っているプラクティスや細かいTIPS のようなもののうち「ドイツでも全く一緒だな」と感じることも多くあり、その点についても興味深く観ることができました。

 

フランクフルト郊外にあるTaunus 郡のマイン・タウナス病院は日本で言えば県立病院のような病院だと思います。

ここでは麻酔科は4 つの部門(手術室及びAcute pain service、ICU、ペインクリニック、在宅緩和ケア)を担当しており、院内から院外にわたって多くの麻酔科医が活躍していました。

またProf. Booke は非常に忙しいにも関わらず、とても親切に対応して下さり、ドイツの麻酔科事情、医療事情や医療制度の話からEU の話、原発の話など社会的な話題まで、様々な話をしてくれました。

また、若手の麻酔科医とドイツと日本の麻酔について話したり、産科病棟での麻酔科の業務も見学することもでき、コチラの病院でも貴重な経験をさせていただきました。

また、こちらの病院におじゃました3 日間はProf. Booke のご自宅に滞在させていただきました。

人の家におじゃまするのは気疲れもしましたが、異なる文化における家庭の様子を垣間見ることができていい経験になりました。

タウナス病院もBooke 教授の自宅もフランクフルト郊外のTaunus にあります。この地域は自然が豊かで森に囲まれており、初夏の緑が非常にキレイで、500 年以上続く町の歴史があり、フランクフルト中心部へは電車や車で20 分程で行くことが出来るという素晴らしい環境でした。

ドイツの麻酔科医や看護師は忙しい中でもドイツ語の分からない僕に、英語でいろいろなことをわかりやすく丁寧に教えてくれたり、外科医の会話も僕にもわかるように英語で話してくれたり、ドイツ語で話をしていても、「今は〜〜の話をしていたんだよ、君はどう思う? 」と説明してくれたり、本当に親切な人達でした。

今年の冬にBooke 教授の紹介で留学生が当院に来ることになっています。

その際は僕もドイツでの恩返しができればいいなと思っています。

20 日間の医局長不在中にフォローしてくれたスタッフの皆さん。

お陰さまで貴重な経験をすることができました。

どうもありがとうございました。

中川元文