マダガスカル医療支援2014


2014年11月7日から22日にかけて,口唇口蓋裂医療支援のミッションに参加しました。このミッションは笹川記念保健協力財団の援助のもと昭和大学が中心となり,マダガスカル中核都市アンツィラベのクリニック・アベマリアで4年前より行っています。今回は,昭和大学麻酔科医局より樋口慧先生と小寺の2人で麻酔業務を行いました。

小寺1

(団長の形成外科医土佐先生と発起人の曽野綾子先生を囲んでいざ出陣!)

さて,マダガスカルはアフリカの東側に位置する島国です。日本と同じ島国気質でしょうか,国民性は,のんびり穏やかでした。今回で4回目となるミッションでは,以前この医療支援に協力した安本名誉教授,大塚先生,中川先生が麻酔器,周術期モニターをはじめ挿管チューブから麻酔に必要な各種薬剤まで,整理してクリニックに保管してくださっていたため,スムーズに手術室設営を進めることができました。またミッションに必要な物品を寄贈してくださった企業の方々,今年搬入分の膨大な物品をパッキングしてくれた中川先生はじめ医局の諸先生方には感謝しております。

小寺2

(11月のマダガスカルは初夏で緑豊かな季節でした)

手術は9日間で,24症例行いました。日本では当たり前の,術前検査,レントゲン写真の情報は無く,マダガスカル語でのコミュニケーションは困難!何より水道や電気のインフラが整っていないこの土地では衛生状態が悪く,患者の術前の状態は良いものとはいえませんでした。しかし,マダガスカル出身の医師で昭和大学留学中のマンジャーノ先生やマダガスカルの修道院で奉仕を行っている日本人のシスター牧野,シスター平間の協力もあり,全例大きな問題なく麻酔を行うことができました。

今回のミッションの手術は無料で行われますが,患者さんは入院に費用がかかるため当日朝に手術室に来院します。体温測定などの簡単な健康チェックをした後,シャワーを浴びます。日本と異なり入浴をする習慣がなく,子供たちは裸足で走り回っているのでシャワー浴は重要な処置です。麻酔方法としては,多くが2歳前後の小児であったため,セボフルランによる緩徐導入後,点滴ラインをとり気管挿管を施行,術中は酸素の配管しかないため酸素とセボフルランによる維持を行いました。抜管後は,リカバリールームでアセトアミノフェンの坐薬,抗生剤の投与をクリニックの看護師(ポーランド人のシスターです)が行い,その後の抜糸まで彼女が中心となってケアを行っていました。術後は1日ほど輸液をするほか,口唇の手術の場合は3日,口蓋の手術の場合は5日で退院するとのことでした。入院中は入院費だけではなく,本人や付き添いの家族が仕事ができないなどの理由から術後の患者さんや家族からは「痛み」の訴えよりも「いつ退院できる?」という質問が多かったのが印象的でした。

小寺3

手術室を一歩出ると,そこはマダガスカル。映画のような動物はいませんでしたが虫は豊富で,シャワーの度にドキドキさせられることも多かったです。食事も食べ慣れないものが多々あり,持参したインスタントのお味噌汁や「都こんぶ」が涙がでるほど美味しいと感じ,体力的にもぎりぎりだわ-と思うこともありました。私にとって麻酔の業務をすることは,日本にいるときは,毎日の手慣れた?仕事です。が,水や食事といった基本的なものの違いから体調管理が難しく,日本にいる時のようなスタンスで仕事するのが厳しいということも感じました。

ですが,手術室に入ってくるとき大泣きして辛い思いをさせてしまった患児が,ミッションの最終日には近寄ってきて笑顔で手を振ってくれたことは,何にも代えがたい喜びでした。昭和大学麻酔科では,定期的に国際援助の一環として医療支援を行っています。みなさんも私たちと一緒に,ピュアな笑顔を見にマダガスカルに行ってみませんか!

小寺 志保