昭和の麻酔科の後期研修を通して人生の選択肢を広げて欲しい


昭和大学麻酔科 教授
大嶽浩司 先生

 

昭和大学麻酔科の後期研修プログラムについて教えて頂けますか?

interview_ohtake_012015年から変更される麻酔科の後期研修プログラムにしっかりと対応している点が昭和大麻酔科の特徴です。

今までの後期研修プログラムは個人が研修指定病院に所属して、実績を積み上げて、個人で各学会に申請するという個人で専門医になっていくというものでした。

これが病院もしくは病院群が後期研修プログラムを用意・提供して、プログラムに所属する形で専門医になっていく形に変わります。

つまり研修生個人ではなく、病院側がプログラムを提供していく形になります。従って研修実施病院がいかに魅力的なプログラムを後期研修医に提供できるかがとても大切になってきます。

具体的にはどのようなプログラムになりますか?

新しくなる後期研修医制度の中で昭和大学は4つの大学病院(昭和大学病院、昭和大学横浜市北部病院、昭和大学江東豊洲病院、昭和大学藤が丘病院)をベースにプログラムを提供していくことで多様性と専門性を兼ね備えたユニークなプログラムを提供していきたいと思っています。

これは4つの大学病院が地理的に非常に近い場所にありつつ、それぞれに個性が際立っているからこそできるなかなか他にはない仕組みだと思っています。

さらに関連研修施設として、成育医療センター、聖路加国際病院、東京労災病院、湘南鎌倉病院、がん研有明病院、埼玉小児医療センターなど専門性の非常に高い病院とも連携して多様性を担保しつつスペシャリストを育成していきたいと思っています。

具体的には、麻酔全般で3コース、産科・ブロック・ICU重点型、小児重点型、心臓重点型、大学重点型(ママ対応)の7つのコースを用意しています。さらに個別の希望に応じてオーダーメイドで研修実施計画を一緒に考えていきます。

後期研修プログラムを通してどのような価値を提供していきたいとお考えですか?

interview_ohtake_03昭和の麻酔科のプログラムを通して人生の選択肢を増やせてもらえればと思っています。

後期研修というのは興味のある分野の医療に突き進む、専門性を高めるところが主目的になるわけですが、それだけではつまらないです。

山登りを例にとると、山は登っていくと登っている最中に見える景色と登った頂上から見える景色はだいぶ違うものです。登り切った頂上から見たらやっぱり別の山がいいなと思うことも多いわけです。そういう時に一つの山しか登れないということにならないように、他の山も登れる準備をしていくことも後期研修には必要なことだと思っています。

勿論自分はこの山でいいんだとそのまま突き進む人がいても良いのですが、そうでない場合の多様性をしっかり確保してくことが若い後期研修医にとっては重要だと思っています。

後期研修における多様性の確保とは具体的にはどのような意味でしょうか?

麻酔科医としては麻酔だけではなく周辺分野であるペインクリニック、緩和医療、集中治療といった領域も学んでもらい幅を広げて欲しいと思っています。

手術室の中だけでしか生きられない麻酔科医ではなく病棟や他の世界でも生きられる麻酔科医に育ててあげたいと思っています。キャリアの選択肢をより多く作ってあげることに繋がると思っているからです。

多様性という観点から海外経験にも力を入れていると伺いました

海外経験はとても重視しています。プログラム期間中に海外での学会発表の経験、海外病院への視察・派遣、さらには海外への臨床留学ができるように全面的にバックアップしていきます。

これは、私自身が海外を中心にキャリアを歩んできたこともあって、若い人にもぜひ海外で医療をすることを選択肢に入れてもらいたいと思っているからです。

海外で医療を行うメリットは、全く違う異文化でのトレーニングで自分自身が本当に試され、成長する機会に満ちていることです。

また、病院の外の生活においても異文化の中に住むということは意味があると思っています。その国にしかない日本とは違う文化を味わってもらい視野を広げてもらいたいと思っています。

大嶽教授は昭和大麻酔科に赴任されて2年目ですが医局の雰囲気を教えて頂けますか?

interview_ohtake_04昭和大で私が赴任してきてすごく印象的だったのは、医局員のみなさんの人柄がすごく良い点です。みなさん本当に一生懸命で真面目です。またお互いに助け合ってキャリアアップしていこうという姿勢もとても良いです。

私はこの良い雰囲気をベースにさらに外のスペシャリストとも触れ合える環境作りを進めてきました。具体的にはブロッカーや産科麻酔のスペシャリストをお呼びして講演や勉強会を開催しています。

アットホームな良さに外からの刺激も加わってさらに切磋琢磨できるような環境ができつつあるように思います。

大嶽教授のこれまでのキャリアを教えて頂けますか?

私は1998年に東京大学を卒業しまして、卒業後は帝京大学の市原病院(現在は千葉医療センター)の麻酔科に入局しました。

そこを選んだ理由は、もう亡くなってしまわれたのですが、当時市原病院に勤務されていた森田茂穂先生の人間的な魅力に尽きると言ってよいです。実は森田先生に会うまで麻酔科はキャリアの中で考えたこともなかったのですが、森田先生に会った瞬間に、この人を人生の師匠にしようと決め市原病院の麻酔科への入局を決めてしまいました。

始めて会った瞬間というのは、私が大学6年生の時に部活の先輩に紹介されたときです。築地の寿司屋に連れて行って頂きましたがその出会いが衝撃的でして、いかに世界を広くみることが大切かを教えて頂き、私が考えていた自分はこういう医師になるのだという世界観が大きく変わりました。

interview_ohtake_02市原病院の麻酔科に入局後は、森田先生の下で研鑽に励みましたが、2年経った時に海外で視野を広げて来なさいと言われてオーストラリアへ行き、その後、アメリカに渡って小児の麻酔、集中治療を専門にしました。

ところがアメリカで修業をしていたある日、森田先生から電話がかかってきてさらに世界を広げろと言われました。そろそろ麻酔もできるようになってきただろうと言われて、今度はビジネススクールに行けと言われました。

そこでビジネススクールの中で一番ノーベル経済学賞をとった学者の多いシカゴ大学のMBAに進みました。そこでは同学年ではたった一人の医師でした。今まで会ったことのない産業の人たちと一緒に肩を並べて学び、飲み、遊び、社会人を7年やったあとの学生というのは格別なものがあって大変楽しみました。ここで出会った友人とはいまでも彼らが来日するたびに六本木に遊びに連れて行っています。

シカゴ大のMBAを出る頃になると森田先生からビジネススクールはいいところを出たかもしれないが、それだけではビジネスの世界では全く使い物にならないだろうから現場で働きなさいというアドバイスがありました。

それで、マッキンゼーという米国系のコンサルティングファームに入りましてアメリカのニュージャージーでインターンをしてから東京で2年間、製薬会社、国の機関、医療機関などを相手にコンサルティングを行いました。

ビジネスの世界に慣れてきたところで、そろそろ医療の世界に帰ってこいと帝京大学病院の麻酔科教授になっていた森田先生に呼ばれ麻酔科の准教授として赴任しました。

帝京大学病院では経営企画室というものを作って頂き経営企画に携わり中国の病院とのアカデミック連携などにも取り組みました。麻酔科としては集中治療室の立ち上げを行いました。

その後、森田先生が帝京大学病院の病院長になられたので、病院長のサポートを経営面、臨床面の双方で精力的に行っていたのですが、在籍1年目で急逝されてしまったのです。

interview_ohtake_05亡くなる直前に森田先生が最後に残された言葉は「また外に、広い世界に出なさい。帝京の中だけではだめだ。今までやったことのない実績のないところでキャリアを積みなさい」というものでした。

そのタイミングで自治医大より声がかかりまして地域医療政策の担当として赴任することになりました。今までは高度先進医療に囲まれていたのですが、そこから正反対ともいえる僻地医療など地域医療の現場をみていきました。

地域医療政策というのは限られたリソース、決まったルールの中でいかに効率よく医療を実践していくかだと思っています。その仕組みつくりを都道府県や市町村と一緒に取り組みました。

そのような取り組みを自治医大という地域医療に本当に人生をかける人たちと一緒にできたことはものすごく貴重な経験になりました。日本は僻地の医療水準が都市とほとんど変わらない世界でも珍しい国です。このようなことを成し遂げることができたのは自治医大のOBを中心とした現場が医療を支えてきたからだと思っています。

昭和大学に赴任した経緯についてですが、以前からご縁のあった現在の病院長である有賀先生からもう一度臨床の現場に帰って来ないか?とお誘い頂いたことがきっかけです。行政や経営企画は年齢を重ねてからでも大丈夫なので、若い今のうちに臨床の現場に帰って臨床スキルを生かして欲しいと言われ私としても非常に迷ったのですが、決断させて頂きました。

昭和の麻酔科で後期研修を考えられている方へメッセージをお願いします

昭和大学は多彩な病院が首都圏の近い距離に集まっているため、キャリアの選択肢を広げることができる格好の場だと思っています。

医療の技術だけではなく経済、人文系でも全く構わないので幅広く学んでもらって多様な人材を育てていきたいと思っています。

医療技術も昭和の非常に明るい楽しい雰囲気の中、それぞれの専門性を有した先生や連携医療機関が協力しながら研修プログラムを組み立てていますので自分に制約を設けずにいろいろなことにチャレンジしてもらえたらと思います。

本当に4年間が足りなくて困るくらいいろいろなことができますので、ちょっと欲張りになってあんなことやこんなことを試してみたいというメンタリティで研修に臨んでもらえると非常に成長のしがいがあると思います。

私たちも熱い思いで愛情を持って若い医療者たちを育てるというと上から目線ですが、育つことのできる環境を用意して待っています。

大嶽浩司 先生 / 昭和大学麻酔科 教授
大嶽浩司 先生 / 昭和大学麻酔科 教授

 

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